2024/10/21 (月)
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Column

外壁材についての考え方 #001

住まいを構成する要素は細かく挙げればキリがないほど様々ありますが、おそらくその中でも外観に関しては多くの人が大切にしたいと思うポイントなのではないでしょうか。

外観というとフォルムやプロポーション、光の当たり方や陰影のでき方も含みますし、構成する要素を細分化すれば屋根やサッシ、雨樋など様々な素材でできています。その中でも多くの場合一際大きな面積を占める「外壁材」についてお話したいと思います。

 

インテリアに関しては実際に訪れる人、もしくは写真や動画でしかなかなか見る機会はありませんが、外壁については周辺に住まう人や眼の前に道路があれば道路を通る不特定多数の人の目にも触れます。

これが街並みを形成し風景となっていることも考えると、その家に住まう家族だけでなくそれ以外の人にも大きな影響があると言えます。

海外の街並みと比較して日本の街並みは……という議論もありますが、個人的には京都などのエリアを除き規制することは難しいと思っていますし、私たちのような作り手が真剣に考えることがまず必要だと思います。住まう人が良いと言うものであれば何でも良しとするのではなく、作り手としての責任とプライドを持ってそれぞれの素材や色、形状などが持つ良い点も悪い点も理解した上で、自分たちの答えを持っておく必要があると考えています。

 

少し話が逸れましたが、街並みとしての側面だけではなく、住まう家族にとって好きな意匠であることは、少し大げさな表現をすれば毎日の生きる活力になり、いずれ愛着も生まれ、住み続ける意欲・モチベーションにつながっていくと思っています。特に外壁はその面積が大きい分、その影響も大きいと言えます。

屋内に比べて雨や風、太陽からの紫外線や熱の影響を強く受けるため、その環境に対応できる性能は当然に必要ですが、その上でいつまでも愛せる素材であるべきで、経年劣化していくものでなく、ともに歳を重ねることで風合いが増したり、その変化も愛せるものである必要があると常々考えています。

それは同時にメンテナンスについて考えることでもあり、自分で手間ひまかけながら手入れしていく素材も良いでしょうし、極力メンテナンスをせずとも美しくあり続ける素材も良いでしょう。

外壁材以外にも当てはまりますが、同様に外壁材も本当に多種多様で、意匠性もイニシャルコストも経年変化の仕方もメンテナンス性もそれぞれです。人による価値観も様々なため、すべての人にとって完璧な素材というものは存在しません。いくつか存在する欠点の中で、どの部分が自分たちにとって許容できる点かということだと思います。

同時に、数ある外壁材の中からどんな素材をオススメしているかによって、作り手である人や会社のスタンスがわかるとも言えます。

 

導入としては少し建築哲学的な話になってしまいましたが、次回以降は、先述した考え方に基づいた今の私たちとしてのオススメを2点から3点ほどご紹介したいと思います。

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