2024/10/27 (日)
-
Column

外壁材についての考え方 #002

今回は、私たちがおすすめしている外壁材についてお話したいと思います。

※外壁材を選定する上で大切にしている考え方については、前回のコラム「外壁材についての考え方 #001」をご覧ください。

 

1つ目にご紹介するのはstoです。stoはドイツ生まれの塗り壁材で、日本ではそこまでメジャーな塗り壁材ではありませんが世界ではNo.1のシェアを持っています。塗り壁であるため、サイディング等のボードと異なり目地のないシームレスで美しいシンプルな仕上げとすることができます。また、現場で職人さんが仕上げていく塗り壁ならではの、工業製品にはない手仕事の跡が残ります。塗り壁の持つ風合いやディティール、全体としてのシンプルな意匠は、時代の変化や街並みの変化にも左右されにくく、いつまでも飽きることのない素材だと感じます。

では、塗り壁材であれば何でも良いのかと言われればそうではなく、数ある塗り壁材のうちstoをおすすめするポイントは2つあります。

①撥水性の高さによる汚れにくさ

stoは「ロータス効果」と呼ばれる、水を弾く蓮の葉の構造を模したバイオミミクリーという技術で、仕上げ材に高い撥水性を持たせ、汚れを付着しにくくしています。このバイオミミクリーとは、生物が持つ構造やメカニズムを模倣・応用した技術を指します。聞き慣れない言葉ではありますが、有名なところではマジックテープ(ベルクロテープ)の構造や、サメの肌を真似た競泳用水着、トンネルに入る際の騒音を軽減するためにカワセミのくちばし形状を模した新幹線の先端など、身近なところにも活かされています。多くの塗り壁材がアクリルやシリコン性の撥水塗装で撥水効果を持たせているのに対し、stoは構造そのもので撥水効果を生み出しているため、紫外線で劣化する塗装と比較して撥水効果の持続が期待できます。

 

②透湿率と透湿抵抗値

仕上材単独の話ではなく、下地となるEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板3号もしくは4号)というボード状の外張り(もしくは付加)断熱材の上にstoを直接塗って仕上げる場合の話になりますが、下地から仕上げまで含めて透湿率と透湿抵抗値を明確に開示しているシステムを他に知りません。これがなぜ大事かというと、壁体内結露を防ぎ、構造体の寿命を長くするためです。壁体内結露を防ぐには冬場と夏場それぞれを考える必要がありますが、まず大前提として、湿度は温度と同様に高い方から低い方へ移動する性質があります。

冬については屋外の方が気温も湿度も低く、室内の方が温度も湿度も高い状態です。この状態では、まず原則として壁の中に湿度を含む温かい空気を入れないための防湿フィルムが必要ですが、仮に小さな隙間から入ってしまった場合やその他の要因で湿気を含む空気が壁体内にある場合、湿度は屋外へ向けて移動します。外張り断熱であるEPSと、そのさらに外にある仕上材stoを比較すると、stoの方が透湿抵抗値が低いためこの湿度の動きを妨げず、スムーズに移動するように作用します。

逆に夏の特に昼間については、屋外の方が温度も湿度も高い状態です。この状態では、湿度は屋内へ向けて移動するように作用しますが、stoよりも内側のEPSの方が透湿抵抗値が高いため、室内への湿度の移動を起こりにくくしています。また、少し話は逸れますが、夏の場合、壁体内に湿度を含む空気が入ってしまったりその他の要因で壁体内にある場合、室内側は防湿ではなく透湿することで湿度を屋内に逃してあげないと壁体内結露の原因となるため、防湿フィルムは可変防湿フィルムを標準としています。

 

塗り壁というテクスチャに加え、この2点がstoをおすすめする理由です。sto社やstoの商品について、より詳しくはsto japanのwebサイトも参照してみてください。

次回はおすすめ外壁材の2つ目をご紹介します。

一覧に戻る